「もう限界かも」「毎日がつらい」
教職という責任ある仕事に向き合いながら、そう感じることは決して甘えではありません。
この記事では、教職を辞めたいと思ったときにまず考えることから、退職の方法、法的な知識、辞めた後の人生設計までを、わかりやすくお伝えします。
「辞めたい」と思ったら、まずやること
自分の心身の状態を見つめる
●朝がつらい/涙が出る/食欲がない/眠れない
●授業中や会議中に集中できない、気持ちが落ち着かない
●人間関係のトラブルが大きなストレスになっている
このようなサインがあるときは、無理をせずまず心療内科や精神科への受診を検討しましょう。
早めの受診が、体調を守るだけでなく、今後の選択肢を広げることにもつながります。
💡アドバイス
診断書をもらうことになる可能性もあるので、日々の状態をメモしておくと医師への説明がスムーズになります。
診断書をもらうという選択
心療内科や精神科で「適応障害」や「うつ病」と診断されると、公立教員であれば病気休暇や休職の対象となる場合があります。
体調に不安があるとき、すぐに退職を決断するのではなく、**まずは休職という選択肢を考えることも大切です。
十分な休養をとり、心身の回復を優先することで、落ち着いてその後の進路を考える余裕が生まれます。
また、診断書は退職を申し出る際の根拠資料(私傷病退職)**としても活用でき、手続きがスムーズになる場合があります。
診断書のメリット
●心身の不調を公的に証明できる
●病気休暇・休職が取れる(給与や共済組合の傷病手当も対象になる)
●退職時に「私傷病退職」として扱われるので、失業保険の給付が早まる場合がある
💡アドバイス
休職に入るときや退職のときに「自己都合退職」とされてしまうと、失業手当の給付が遅れたり、不利になることもあります。
診断書は必ずコピーをとって保管しておきましょう。
受診前にやっておくと安心なこと
●症状や困っていることを箇条書きでメモして持参
●「休職したい意思がある」と伝えると、適切な診断名と診断書を書いてもらえることも
教職を辞めるまでの流れ(公立教員の場合)
年度途中で辞められる?
→ 可能です。法律的には「退職の自由」があります。
ただし、学校や教育委員会としては年度末退職を推奨してくるケースが多く、年度途中の退職には“交渉”が必要です。
一般的には3月末(年度末)での退職が多いですが、体調不良などが理由であれば年度途中でも退職は可能です。
不利にならない進め方(公立学校の場合)
●非公式に相談
→ まずは校長や教頭に「退職を考えている」と非公式に話す
→「精神的・身体的な理由がある」と伝えると理解を得やすい
●退職願の提出
→ 教職員は「退職届」ではなく「退職願」が一般的(撤回可能)
→ なるべく文書(メールではなく紙)で提出し、控えを残すこと
●教育委員会の承認を経て退職が成立
→ 形式上、教育委員会の承認が必要だが、拒否されることはまれ
💡「退職届」ではなく「退職願」にしておくことで、後から撤回が可能です。
また、口頭だけでなく、書面で提出し、自分用の控えも必ず残しておきましょう。
「自分に不利にならない」ためのチェックリスト
□ 診断書を取った(休職・傷病退職の備えに)
□ 退職願は紙で提出し、控えのコピーを保管
□ 不調やハラスメントは記録(メモや録音)として残している
□ 労働組合(加入していれば)に相談しておいた
□ 有給休暇の残りを確認して、退職前に計画的に取得する
法的には辞められるの?|無理な引き止めへの対応
▶ よくある「辞めさせてもらえない」ケース
「代替教員が見つかるまで待って」
「4月まではいてもらわないと困る」
「教育委員会が承認しないと無理」
これらはすべて法的に強制力はありません。
地方公務員法でも、自己都合退職は可能とされています。
対応のポイント
●文書で「退職の意思」を明確に示す(退職願+診断書が有効)
●引き止めが強引な場合は、労働基準監督署や弁護士に相談も可能
感情的にならず、「体調を優先したい」「治療を継続する必要がある」など、理由は事実ベースで伝えましょう。
書面やメールでやり取りを残しておくと、後々の証明になります。
退職後の生活はどうなる?
退職後すぐにやるべきこと
●失業保険の手続き(職安へ)
→「私傷病退職」の場合、受給までの待期期間が短くなることも
●健康保険の切り替え(任意継続or国保)
●年金の切り替え(共済→国民年金)
生活を安定させるための基本手続き
●失業保険の手続き(ハローワーク)
退職後はまず、お住まいの地域のハローワークで失業保険(雇用保険)の申請手続きを行いましょう。
公立教員でも「非常勤講師」「臨時的任用教員」などは雇用保険に加入している場合があり、条件を満たせば給付を受けられます。
「私傷病退職(病気などの理由での退職)」と認定されれば、通常より早く失業給付を受けられる可能性もあります。
この場合、医師の診断書や退職理由が記載された書類の提出が求められることがあるため、あらかじめ準備しておきましょう。
●健康保険の切り替え
共済組合に加入していた場合は、退職後に以下のいずれかの方法で健康保険を継続する必要があります。
- 任意継続被保険者制度(最長2年間)
これまでの共済保険をそのまま継続。保険料は全額自己負担ですが、保障内容は変わりません。 - 国民健康保険への加入
市区町村の役所で手続き。前年の所得により保険料が決まります。
どちらが負担が少ないかは人によって異なるため、保険料を比較してから選びましょう。
●年金の切り替え
共済年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。
市区町村の役所で手続きしましょう。
無職の期間が続く場合は、「国民年金保険料の免除・猶予申請」をすることで、未納にならずに済みます。
・これらの手続きには期限があり、退職後14日以内が目安となるものもあります。早めの行動を心がけましょう。
・診断書や退職辞令などの書類は、コピーを保管しておくと後の手続きで役立ちます。
退職後の手続き・流れ
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 退職直後 | 健康保険・年金の切り替え、失業保険の申請(ハローワーク) |
| 1〜3ヶ月 | 休養、心身の回復、通院継続、リズムを整える生活 |
| 4〜6ヶ月 | スキルアップ、資格取得、副業などの準備・模索 |
| 7ヶ月以降 | 再就職・転職・独立など次のキャリアへ |
💡アドバイス
自己都合退職でも、診断書があれば「特定理由離職者」として扱われ、失業手当が早く出るケースがあります。
このためにも、医師からの診断書や、休職の記録は大切に保管を。
最後に
教職を辞めることは「逃げ」ではなく「選択」です。
続けるより辞めるほうが怖いと感じるかもしれませんが、壊れてしまってからでは遅いのです。
自分を守ることは、次のステージへの第一歩。
あなたの未来は、これからいくらでも変えられます。





